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会報誌  2022年11月号

9月16日(金)~21日(水) 北海道大雪山大縦走特集

北海道大雪山大縦走 総括

リーダー  N.K

北海道 旭岳
姿見展望台から旭岳

 あゆみHCでも過去ピストンで大雪山系の山々の山行はあるものの未だ縦走の経験がなく、縦走となるとテント装備に食料そして寝袋など装備も大掛かりとなる為敬遠されがちな大縦走計画ですが、70歳を超えた私がどうしても帳面消しをしたかったのは、大雪山大縦走の金字塔を立てたかったからです。この感激を一緒に行く仲間たちに味わってほしいとの気持ちだったからです。

 神奈川県の面積より広いと言われる大雪山系の山々はアイヌ語でカムイミンタラ(神々が遊ぶ庭)と称され、またヌタプカウシュペ(川がめぐる上に立つ山)など北海道ならではの表現をされる山々を一度は歩いてみたいとの切なる願いがありました。でもこれだけの大縦走計画に高齢化が進んでいるこの会で誰が同調して参加してくれるだろうとかの不安がよぎりましたが会企画に提案してみました。するとどうでしょう!次々と「行ってみたい、挑戦したい、話を聞きたい」との声が届き、最終的には私含め7人(会員は6人)の参加者が集まり一大パーティーが結成されました。

 今回のパーティーでは山で初めてテント泊する人が数名おり、いても経験が浅い人ばかりでした。装備の準備からテント設営、食料計画など一から十まで指導することから始まりました。出発までにテント泊2回、装備品の確認や福岡への買い出し、そして行程の打ち合わせなど数回に亘って実施しました。中でも九重坊がつるでの訓練キャンプでは、実際に想定される装備を担いでの訓練で、男性の荷物は約20kg、女性でも10kgをゆうに超すザックを担いで本番さながらの訓練でした。テント設営と夕食までは順調にいったものの朝方には雷と豪雨に襲われ、全員のテントに雨水が侵入してきて全員テントの中で雨合羽を着て夜が明けるのを待っている状態でした。どうにか小降りになったころを見計らって軽めの朝食を摂り、早々とテントを片付け坊がつるキャンプ場を後にしました。まあ、これも訓練かと思うとそれまでですが、参加されたメンバーは雷と豪雨でのキャンプは初めての経験で楽しさより恐怖が勝っていたようです。でも皆さんも前向きに良い訓練だった、このような訓練はやりたくても簡単にはやれない訓練であり、ためになったとの温かい言葉・・・非常にうれしかったです♪

 

 訓練や装備もほぼ整い出発を待つだけになりましたが、ずっと不安に思っていた台風14号の発生、進路予想図では北海道にも近づくとの予報、コースによっては最悪行程の大幅変更を迫られるかも?となりました。直前になってのコース変更はミスもあるし、危険度も増えるのでどのルートが一番安全か?所要時間は?宿は?交通手段は?レンタカーは?などいくつもの問題が上がり、調べものや問い合わせに多くの時間が割かれました。結局数回の変更が発生する事になり、一度目の変更は大縦走を諦め途中から黒岳方面にかじ取りして、ヒサゴ沼からトムラウシ山への縦走を諦める事で最初の計画から大きな変更となりました。これまで2ケ月間長い時間かけて計画してきたことが一瞬にして消え去った瞬間でもありました。2度目の変更は、スタート初日、旭岳山頂はガスで見えませんでしたが、周辺は晴れ間が見られるまあまあの天気。山頂に近づくにつれてガスの中に完全に入り山頂からの眺望は見られませんでした。重たい荷物を背負って旭岳を順調に超え水平移動になった御鉢平周辺を歩くころには風も大分強くなり持参の風速計で12m/sの強風で重い荷物を担いでいるせいもあり時々ふらつくメンバーもちらほら。この強風のさなかテント設営、食事など出来るかどうか?不安が募り、白雲岳テント場へは行かず黒岳方面へのエスケープを決断する時がきました。SLのHさんにエスケープの考えを伝えると、「そうしましょうか?」との返事だったので、全員に「この環境下で先に進むことは危険だから白雲岳には向かわず黒岳石室に変更したい、石室は予約していないが万一テントを張らないといけないかも知れないが、有人小屋だから最悪の事態は避けられる」事を告げ、そこでルート変更を行いました。

 

 分岐点から約2時間弱、疲れもピークに差しかかったころ黒岳石室に到着したのは16:45頃、姿見駅を出発して10時間が過ぎていました。台風接近の予報もあり石室ではお客も少なめで離れの小屋を貸してもらい、自炊したりお喋りしたり、好き勝手に有意義な時間を過ごすことができました。メンバーの殆どが事前の訓練の成果もあったかどうか分かりませんが、誰一人バテることなく持参の食事でお腹いっぱい満たし明日の英気が養えたようです。

 

 3度目の変更は、最終日4日目のトムラウシ山です。当日の天気は雨のち曇り

晴れとの予報が出ていましたが、丁度台風が北海道の東側を通過する日でもありました。“天候回復の兆しあり”の予報でしたので雨具を着てヘッドランプを点けて雨の中を出発しました。途中壮大なダケカンバやカエデの紅葉に驚き、ナキウサギの出現に驚きました。暫くして雨も上がり青空もチラホラ。これは良いコンデションかも?との期待を膨らませて高度を稼いでいくと楽しさも小ピークの前トム平まで。そこを過ぎ稜線に出てロックガーデンを過ぎたころには物凄い強風が我々を待ち伏せていました。突風でバランスを崩す人も出てきて先に進むのが困難になってきました。暫く岩陰で突風が収まるのを待っていましたが、風速20m/s強、気温1.6℃で未経験の人たちをこの状況下で長い時間待たすことは危険と感じ、トムラウシ山まであと2km地点でしたが引き返す事を決断しました。皆さんもこの決断に関して、この状況下ではとても前には進めない事を理解し快く賛成してくれました。

 

 このような状況の変化で多くの行程変更を余儀なくされた大雪山縦走計画も完全踏破とはなりませんでしたが、歩いても歩いても途切れることがないチングルマ、ウラシマツツジ、ダケカンバ、ナナカマドの紅葉の素晴らしさ、大自然の大きさ、雄大さを肌で感じ、近場の山々では絶対体験することができない多くの経験をぐっと凝縮された4日間で満喫された事と思います。文人大町桂月の紀行文の一説を借りれば「富士山に登って山の高さを語れ、大雪山に登って山岳の大いさ(大きさ)を語れ」の心境ではないでしょうか?標高では日本アルプスを代表する山々には劣りますが、北緯43度北海道の山の奥深さを肌で感じ、次回は途中断念した大雪山の奥座敷と言われるトムラウシ山へのリベンジや海抜0mから山頂まで標高差1,280m標準時間で登り6時間・下り4時間を要する利尻山をチャレンジしたい気持ちを抱きながら帰路につきました。これまで長い時間お付き合い頂いた仲間たち、時として厳しい言葉で指導されて驚いた仲間たち、また装備を一から準備し大枚を払った仲間たち等々、色々と今回の登山では収穫が大きかった事と思います。この経験を活かし、あゆみHCの仲間たちの良きリーダーとして活躍されることを期待しています。皆さんお疲れ様でした。


9月16日(金)~21日(水) 北海道大雪山大縦走特集

5泊6日の山旅

北海道大雪山系旭岳~黒岳(層雲峡)縦走とトムラウシ山日帰り登山(備忘録)

SL  S.H

 台風14号が日本列島縦断予報の中、山仲間7人で2ヶ月前から机上検討とテント泊トレーニングを重ねて来て9月16日決行の日を迎えた!!台風の影響を受けるのは必至!リーダーが引出しをたくさん準備していたので出発前日に若干のルート変更し全員の承諾を得て出発した!実際に山歩きしてみると状況の変化が激しく突風とガスの影響によりもう一つの引き

出しから最適なルートを選択して結果当初の目的である大縦走は諦めでエスケープルートの手段を取ったが、変更したルートでもとても楽しい最良の山歩きが出来た。

旭岳から黒岳に向かう御鉢平を伴う外輪山の日本一早い紅葉は圧巻で広大ですご~いを発する以外に言葉が見つからない位に素晴らしいものだった!大雪の山を吹き抜ける風を受けながらも360度見回しこれがカムイミンタラなんだなぁ~って感激した!リーダーが風力計で計測した風速12m/sと20m/sの強風を感じながら歩いたこの北海道大雪山山歩きは思い出深いものになりました。雨、突風に遭いながらも最後まで山旅を楽しむ事を忘れなかったこのパーティー仲間に感謝、謝々しか有りません。

(詳細行程は別途報告済)

 

 


9月16日(金)~21日(水) 北海道大雪山大縦走特集

思い出の大雪山大縦走 感想文

  T.Y

台風14号に後追いされた大雪山系縦走。

雄大な旭岳の勇姿。360度の大パノラマの峰々。カムイミンタラを目指すも大自然の風・気温に歯がたたない。リーダーの苦渋の決断でリタイア。メンバーの生命を守るファインプレーでもある。山屋のルールとして家に帰るまでが登山を実践。今回の北海道では人に頼らない自立した自己完結型の登山であることを認識した。衣食住をザックに詰め込み、長距離の縦走、一変する天候に対応。登山の厳しさと山岳の大きさを痛感した北海道でした。


9月16日(金)~21日(水) 北海道大雪山大縦走特集

行ってきました北海道 大雪山系の山々

 企画チーム H.K

 大雪山系の山々の広さは何と神奈川県より広いそうで、実際その場に立ってみると日本アルプスの山々を歩いてきた私にとっても見渡す限りの雄大な高原と山々の連なりを見れば“でっかいどー”の言葉に相応しい表現であることに驚きました。

 出発前には台風14号が発生し、結果的には、大縦走は諦めルートを北海岳から黒岳経由層雲峡へのルートに変更しました。トムラウシ山は日帰り登山となりました。でも黒岳は予定外のコースでありましたが、黒岳山頂からの眺めは前日歩いた御鉢平周辺のチングルマを主にした紅葉の眺めや層雲峡に下るルートのダケカンバ、カエデなど秋の大雪山系の紅葉を十分満喫する事ができました。下山後の層雲峡ホステルでは厨房をお借りして少しのおかずや煮炊きラーメンを作ったり洗濯したり、自由時間を好き勝手にゆったりと過ごすことができ自炊生活を堪能する事が出来ました。

 最終目的地のトムラウシ山は生憎の雨の予報で午前中には回復するとの事で雨降る中を早朝4時に宿を出発、旭岳への登山ルートとは違い周囲はダケカンバや黄色く紅葉した広葉樹の森の中を歩くこと2時間でコマドリ沢、ここからは夏期の期間であれば雪渓が残っているそうですが、秋も深まった今は雪渓も消えゴロゴロのガレ場を黙々と高度かせぎ。途中振り返ると天気も回復した青空のなか山一面に黄色く紅葉したダケカンバに驚く事、驚く事・・・、これだけ一面に植生したダケカンバは見たことがない!ロックガーデンでチッチ、チッチと鳴く可愛い鳴き声が?そうです北海道にしか生存していないナキウサギです。ここを過ぎ前トム平の稜線に出ると強風で一気に恐怖へと落とされました。強風で先に進めないので、岩陰で30分ほど様子見で待機していましたが、寒さも増してきて目的のトムラウシ山頂手前で引き返す決断をリーダーがしたので残念な気持ちではありましたが安全第一を優先し引き返しました。

 思い返すと旭岳から黒岳石室まで約12kgを背負って約10時間、トムラウシ山へは不要な荷物は宿においていましたが往復11時間の行動。75歳の私には重い荷物を背負っての長距離縦走の不安はあったものの“良く頑張った!”と自分を褒めてあげたいです。稜線では延々と続く紅葉したチングルマの群落、周囲の斜面には一面のダケカンバやカエデの紅葉、これほどの素晴らしい北海道の紅葉は一生忘れられない美しい山となりました。計画を立てリードしてくれたリーダー、いつも元気で周囲を和ませてくれたSLのHさん、素晴らしーチームワークで協力し合ってコースは少し変更しましたが無事帰還できたメンバーの皆さん大変お疲れ様でした。またこのメンバーで登山できることを願っています。

皆さんお疲れ様でした。


9月16日(金)~21日(水) 北海道大雪山大縦走特集

北海道大雪山縦走 感想文

 A.M

 北海道の山々をメンバーの皆様と歩くことができて、とても楽しく、貴重な経験をさせていただきました。荷物が重たかったかったですね、風景は見たことがない美しさでしたね、ナキウサギ可愛いかったですね、熊怖かったですね(遭ってはいませんが・・)。仕事をしていても、ふと、あの風の吹き渡る山の中に帰りたい気持ちになる時があります。またいつの日か訪れることができるように、これから体力作りを頑張ります。


9月16日(金)~21日(水) 北海道大雪山大縦走特集

大雪山縦走 感想文

 N.H

 今回、初めてあゆみのビック山行に参加させてもらいました。始まりは2022年6月。あゆみ会報誌の山行企画に北海道大縦走の文字。「未踏の地北海道に行ってみたい、何か大きな事をやってみたい。」という思いがモクモクと湧いてきて、気づいたら会長にラインでお伺いをしていました。当初の予定では、テント泊3日間の大縦走、装備を含めたザックの重量はこれまで経験のない13kg超え、1日10~12時間の行動時間。これだけ聞いても、自分の体力の限界を知らない私には未知の世界すぎて現実味を感じておらず、無謀にも私でも参加できるのでは?と思っていました。会長からのお返事は、思いの強さを認めてくれつつも、まずは体力強化や装備の準備をすすめる内容でした。

「そっか、そりゃそうだな。」と意気消沈で過ごしていると、再度会長からのラインで「再考しました」の文字がありました。この無謀とも思える挑戦を前向きに検討してくださり、参加できることになったのです。すでに6人のメンバーの航空券の予約は済んでおり、私の追加分は残り1席でギリギリ間に合ったと聞いて、これは運もあるぞ!必ず成功させたい!と思いました。それからは、装備の準備と体力づくりです。近郊の山しか経験が無かったため、色々な物が新たに必要でした。特に登山靴は履いてみないと分からないとの指摘で、会長ご夫婦にお付き合い頂き福岡まで買い物ツアー。久しぶりの福岡でのお買い物は楽しく、訓練への気合も入りました。

 登山開始初日、天気は薄曇り、旭岳山麓の姿見駅までロープウェイを使い、キャビンの中からの眺めは色づき始めた紅葉の黄色と赤と多めの緑の絨毯?が広がり、目の前には猛々しくも美しい旭岳が目に飛び込んできました。小学生みたいに心浮き々です!姿見駅からの遊歩道の両脇にはチングルマの紅葉とシラタマノキの白い丸っこい花が出迎えてくれました。近くには数多くの噴気口が間近に見えます。暫くして本格的な登山路となりゴロゴロした岩れきの斜面をメンバーの体力に合わせゆっくり登りました。重量級のザックを背負っての急な登り続きで息が上がりましたが、振り返ってみる景色はなんとも言い難い広大な山々がどこまでも広がっており、苦しい、キツイは忘れて清々しいものでした。登り途中で食べたおにぎりの美味しかったこと・・・。

 4時間ほど歩いて山頂が近づくと次第にガスが濃くなり、旭岳山頂からの眺望はありませんでした。(残念)そこからは、急な下り斜面。早い時期には雪渓が残っているというこの場所は、滑りやすい砂礫で、何度も滑っては転びザックのクッションに救われました(笑)。今回歩いた中で一番難しい道で、早く終わってくれ~!と心の中で叫びながらも、なんとか下り切って昼食。この山旅用に購入したサーモスの温かいお湯で作ったたまごスープが疲れた身体に染み渡り再び活力が出てきました。その先からは幾つものアップダウンが続き周囲3kmもある有毒ガスで生き物がいないような御鉢平を横目になだらかな稜線歩きを楽しみました。本日最後のピークの北海岳に着く頃には、辺りはまたガスに包まれ次第に風も強くなり、時刻は14時半を過ぎていたので計画の白雲岳方面には南下せず、黒岳石室泊へ予定変更となりました。北海岳から黒岳石室まで向かう途中で徐々にガスが切れてきて青空が・・・。これから向かう石室の小屋は遥か彼方に確認できる程遠くに見え、辺りは遮るものが何もないひろ~いお庭のようでした。これが、カムイミンタラ(神々の遊ぶ庭)か~と感動しながらも、左は崖、強風の中の下り道、重いザックにバランスを崩さないよう恐怖心をはねのけて神経を集中させ、少し下ると、風も弱まり最高の景色。紅葉、雪渓、小川を越えて自然の美しさにここは天国かな?と思うほど心地よい気分でした。陽が傾き始めた頃に黒岳石室に到着。文字通り石室の外壁は石の積まれた姿や色とりどり旗(タルチョ)が風に揺れている感じ、天水を貯めてあるタンクのオレンジ色、全てが青空をバックに可愛く絵になる場所で、テンションが上がりました。

 小屋は私たちパーティーの貸切りで、沸かしたお湯でそれぞれが持ってきたドライフードで夕食を摂りました。私は、一番とっておきのオニオングラタンスープ(ラスク付き)と、わかめご飯を作りました。ご飯は多かったので、半分は明日の朝食用おにぎりに。陽が落ちると辺りは真っ暗、見上げると満天の星に大感動です。いる星座は2つだけ、北斗七星とオリオン座を見つけてとても嬉しかったです。こんな時、星座に詳しかったらなあと思うも、帰って来て勉強したかというと・・・?この日は、約10時間の山歩きだったので、翌日に備えて入念なストレッチをして就寝しました。

 登山二日目、天気は晴れ。黒岳石室から黒岳山頂を目指しますが、その前にすぐ近くの桂月岳へ片道15分のピストン。赤く染まる空に金色の線がさしてくる御来光、初めて見たモルゲンロートの美しさに朝からテンションが上がりました。黒岳までの道は登山の大会が開かれていたようで、高校生から自衛隊の人までチームのゼッケンをつけてトレイルされていて賑やかなものでした。周囲の景色を堪能しながらゆっくり山頂へ。少し雲はありましたが山頂からの景色は昨日歩いてきた道も見え、遥か彼方の山々まで見渡せ素晴らしいものでした。山頂から本日の宿層雲峡ホステルまで長い階段を下り、リフトとロープウェイを乗り継いで行きます。昨晩のストレッチのおかげで、筋肉痛も出ず、心配だった階段を下りきりホッとしました。リフトからは足元にたくさんの紫と白のリンドウが咲いているのが見え綺麗でした。昼頃には層雲峡ホステルにチェックイン、各々ゆったりまったりの時間を過ごしました。ホステルのそばを散策すると鹿の親子との出会いがあり、とても可愛かったです。

 三日目、この日は移動日。層雲峡からバス、レンタカーを使い5時間弱の移動。帯広ではレンタカーに乗り換えて、リーダーの運転でトムラウシ登山口近くの東大雪荘までガタゴト揺られること2時間弱。さらに登山口を確認するために向かった道は整備されていない道を片道30分、往復1時間かけて明日向かうトムラウシ山短縮路の登山口を確認し、日も落ちて暗くなった頃東大雪荘到着。宿の夕食は、お刺身、天ぷら、鍋と豪華なものでした。明日はいよいよトムラウシ山へアタック。お風呂はかけ流し温泉で露天風呂もあり、明日の為にしっかり準備をして(つもりで)やすみました。

 登山最終日は4時出発。天気は予報では雨、しかし朝6時ごろには雨が上がり昼頃には晴れてくるらしく、雨具を着てヘッドラライトを装着して車に乗り込みました。ここで、ヘッドライトの電池を入れ忘れたことに気づき、一度部屋へ戻るという失態。出発が遅れてしまい迷惑をかけてしまいましたが、皆さんが優しく声をかけてくださり救われました。昨日確認した登山口には私たちの車だけでした。準備を済ませ5時に雨の中を登山開始。ヒグマ注意のポスターが頭をよぎる中、後ろから「ピー、ピッ、ピー。」と笛の音。後方のメンバーが交代で熊よけの笛を吹いてくださり心強く感じました。暫く歩くと尾根の途中で雨も上がり、辺りはナナカマドやダケカンバの黄色の紅葉が美しい。出発から4時間、コマドリ沢分岐で休憩、宿が用意してくれたおにぎりを頂き、ホット紅茶で体を温めました。 

 ここから先は沢沿を登り、岩がゴロゴロした稜線のよく見える場所に出るとナキウサギの鳴き声が聞こえ、目を凝らして探したらチョロチョロ動く姿を見て凄く可愛さを感じました。次はロックガーデン、段々と風が強くなり時折突風に襲われ、中々前に進めない状態でした。風に煽られないようにザックカバーは外し、背を低くして岩に這いつくばる感じで進んだ時は、この先付いて行けるだろうかと初めて不安になりました。トムラウシ公園手前の稜線で風は最高潮に強まり、一行は岩陰で暫く様子を伺うこととなり待機。リーダーの持つ風速計で風速20m/s強。雨は落ちてなかったものの、体は冷えて寒さを感じ初めていました。「こういう状況下で低体温症になると大変だろうな?」と少し怖さを感じましたが、反面、暴風の中でもメンバー同志で身を寄せ合う、非日常を楽しんでもいましムラウシ山まで残り2km地点で撤退となりました。帰りは同じ道ではありましたが、お天気が回復した風景では稜線に映える紅葉を堪能できました。それにしても、トムラウシ山(手前ですが)までの道のりは長く、なんとも奥深かったです。これが大雪山系の奥座敷と言われる所以ですね?辿り着くことはかないませんでしたが、熊に遭遇することなく無事に登山口まで戻って来たときの達成感はものすごく大きかったです。

 今回の山旅を通してリーダーはじめ、チームの皆さんに大変お世話になりました。刻々と変化する中で、私のような初心者でも安心してやり通せたのは、皆さんの暖かいお声かけや心配りがあったからと大変感謝しています。反省点としては、ヘッドランプ電池の入れ忘れ、手袋が取り出しにくくMさんから借りた手袋に穴を開けてしまった。(本当に申し訳なかったです)また、行動食が足りず、途中で購入したこと、そして砂礫下りの技術不足などなど。気づかないことも多くあったと思いますが、何より良かったことは、最後まで山旅を楽しむことができたことでした。次回は、お花畑が綺麗な時期にいつの日かまた、皆さんと一緒に行けたらと思います。有難うございました。